「外国人労働者」とは、日本国内で働く外国籍の人すべてを指す総称であり、特定の在留資格を表す言葉ではありません。外国人が日本で働くには、出入国在留管理庁から認められた「就労可能な在留資格」を持っている必要があります。その中には、専門的な職種向けの「技術・人文知識・国際業務」や、調理師などの技能職を対象とした「技能」などがあります。
一方、「特定技能」で就労する外国人も「外国人労働者」に該当しますが、「特定技能」は、2019年に新設された就労系の在留資格のひとつで、人手不足が特に深刻な業種に限定して外国人を受け入れる制度です。対象となる業種は介護、外食業、建設業、ビルクリーニング、農業など14分野に限られており、企業はこの中に属していることが受け入れの前提条件となります。
「外国人労働者」と言っても、留学生のアルバイトや技能実習生、さらには高度専門職まで、その在留資格はさまざまです。たとえば、留学生は「資格外活動許可」を得ることで週28時間以内の労働が認められていますが、これはあくまで学業が主目的であり、フルタイムの労働はできません。一方で、特定技能は就労を目的とした在留資格であり、フルタイム勤務が可能で、職種もあらかじめ定められた業務に限定されます。
さらに大きな違いは、「技能実習」と「特定技能」の目的の違いにあります。技能実習制度は「人材育成」を目的としており、原則的には実習終了後に母国へ帰国することが前提です。対して、特定技能は「即戦力人材の労働力としての受け入れ」が目的で、一定条件のもとで最長5年間の在留が認められます。また、技能実習から特定技能へと移行することも可能なため、制度の接続性にも注目が集まっています。
企業にとっての実務上の違いも重要です。特定技能で外国人を受け入れる場合、生活支援体制を整える必要があり、登録支援機関と連携するケースが一般的です。支援内容には日本語学習のサポートや生活相談、行政手続きの支援・補助などが含まれ、労務管理に加えて生活面の支援も必要になります。
このように、「外国人労働者」という言葉は幅広い在留資格を含んでいるのに対し、「特定技能」は明確な条件と制度設計のもとで運用される特定の就労資格です。制度を正しく理解せずに外国人を雇用すると、法的トラブルにつながるリスクもあるため、導入前には自社の業種や体制に合った在留資格を見極めることがとても重要です。
「外国人労働者」と「特定技能」は混同されがちですが、意味する範囲も制度の運用もまったく異なります。特定技能は、即戦力となる外国人を合法的に受け入れられる制度として、多くの企業にとって有効な人材確保の手段です。まず制度の違いを正しく理解したうえで、受け入れの準備を進めることが大切です。